八ヶ岳 赤岳 (2899m) 2010年8月13日
所要時間 4:15 車道終点−−4:44 廃林道を離れる−−5:22 小天狗−−6:09 大天狗−−7:12 赤岳頂上小屋−−7:14 赤岳 7:50−−8:32 大天狗 8:44−−9:14 小天狗−−9:33 廃林道−−9:55 車道終点
概要
いつものとおり県界尾根から往復。廃林道終点から小天狗先までは断続的に笹が覆いかぶさって前夜の雨で濡れた笹の間を歩くのはイヤらしいが、それより上部は発達したシラビソ樹林で笹から解放される。今回は岩が濡れて滑りやすく鎖、梯子のお世話になった。6時くらいは山頂はガスから出ていたが私が山頂に到着する頃には再びガスに覆われ展望皆無で寒かった。
本当なら劒岳に登りたかったがこの天気ではせっかく時間と金をかけて遠くまで行ったのにガスで何も見えず雨に祟られておしまいという可能性が高い。リスクが高い時は近場が安全だ。東京から平日の高速料金でも\1000程度でアルプス級で簡単日帰りできる山と言えば八ヶ岳しかない。昨年も何回も登ったが暑い時期の半端な時間の場合は最適な場所なのでしょうがない。
車道終点の駐車スペース(帰りに撮影) | 車道終点=登山口(帰りに撮影) |
県境尾根登山口の車道終点には先客の車は皆無。まあ、台風通過当日だからなぁ。夜中でも星は見えず今年もペルセウス流星群は見えなかった。雨も降るし明日の朝は大丈夫だろうか・・・。幸いにも朝には雨は上がったがやっぱり星は見えず、このぶんだと山頂はガスの中かなぁ。
廃林道を歩き始める(帰りに撮影) | 笹が伸びた廃林道(帰りに撮影) |
コンクリート舗装の廃林道(帰りに撮影) | 廃林道から登山道に移る(帰りに撮影) |
まだ真っ暗な中を出発。廃林道の一部でも濡れた笹がはみ出して半ズボンではちときつい区間もあった。廃林道から登山道に移ると笹が本格化するのでロングスパッツを装着し足が濡れないように防御する必要がある。ここを刈り払うと1級の道になるのだが。笹区間は距離が長いし連続しているので、個人で整備するにはエンジン付きの草刈機が必要だろうな。
最初は唐松植林帯(帰りに撮影) | 樹林の切れ目から見た赤岳 |
樹林の切れ目から見た甲府盆地 | 県境尾根に乗る |
最初は唐松植林帯を登る。1か所だけ樹林が切れて赤岳が見える場所があるが山頂はガスの中だった。やっぱ今日は駄目か。唐松樹林からシラビソ樹林に変わっても笹はまだ続く。樹林中は暗いのでなかなかライトの出番が無くならない。天気が悪くて暗いせいもあるが日の出の時刻が遅くなっている影響もあるだろう。7月下旬なら開けた場所なら4時でもどうにかライト無しで歩けたが、今では4時半すぎでもまだライトが必要だ。樹林中では5時過ぎでもまだ暗い。小天狗付近まで登ってやっと明るくなった。
小天狗 | 小天狗先の砂礫地から見た赤岳山頂 |
小天狗先の砂礫地から見た南八ヶ岳 | |
小天狗先の砂礫地から見た鳳凰三山周辺 | |
小天狗先の砂礫地から見た白根三山 |
小天狗を過ぎて賽の河原と呼びたくなるような開けた場所に出ると赤岳が見えるようになり、山頂はガスから出てすっきり見えていた。ガスはどんどん上空に逃げていっているようで、これなら山頂到着して展望が楽しめそうだ。それから少し歩くとやっと笹が消えて半ズボンで涼しく歩けるようになる。まあ、今日は曇って日差しは無いし風もあるので涼しいけど。この分だと稜線に出ると西風が強そうだな。
シラビソが縞枯状の場所もある | 大天狗 |
縞枯地帯から見た赤岳。まだガスはかかっていない | ダケカンバが現れると森林限界は近い |
発達したシラビソ樹林を登っていくと岩が積み重なったピーク横を通過、ここが大天狗だ。この先で傾斜がきつくなって本格的な登りになる。シラビソが縞状に枯れた場所では展望が開け、下界の甲府盆地、そして富士山が姿を現す。この付近はさほど高くない暗い雲がかかっているが富士山山頂には雲は掛かっていなかった。鳳凰三山の奥には北だけが見えているが、ここはかろうじて雲がかかっていなかった。東側には奥秩父がすっきり。
標高2600m付近から見た奥秩父(クリックで拡大) | |
標高2600m付近から見た上越国境〜奥日光(クリックで拡大) |
さらに登って最初の鎖場&梯子直下で樹林が大きく開け、北東を見ると奥日光の山々が見えていた。7月下旬の北岳と比較して距離的に近いので明瞭だ。でも八ヶ岳で奥日光が見えたのは初めてで、昨年は雲海に隠れて1度も目にすることはできなかった。下界の展望は満足できたがここにきて赤岳山頂は再び雲に覆われてしまい、山頂に到着することにガスが切れるのかそれともこのままなのか何とも言えない。
標高2600m付近 最初の鎖場直下 | 最初の鎖場を見上げる |
2つ目の鎖場は枯れた谷 | 2つ目の鎖場を登り切ったところから見た赤岳 |
展望荘からの巻道が合流 | 2つ目の梯子 |
濡れて滑りやすい岩場は鎖を頼りにして登り、横に移動して水が涸れた岩だらけの小さな谷をこれまた鎖に頼って登る。ここも乾いていれば鎖は使わずに済むのだが、今履いている底がすり減った登山靴で濡れた岩では滑るのでしょうがない。尾根に乗ると森林限界であるが、ここからガスの中に突入。頭上ではヘリが飛んでいたがまさか遭難? それともこの天気でも荷揚げしているのだろうか。展望山荘からの巻き道が合流すると2本目の梯子地帯。この辺りから風が強くなり寒くなってきた。山頂小屋直下の尾根を登るとTシャツのままでは我慢できない体感温度となり、どうせ稜線に出ればガスと強風で防寒装備が必要となるので、その前にダウンジャケットと雨具を着用した。
稜線向かって最後の登り | 赤岳頂上小屋 |
頂上小屋から赤岳山頂が見えない | ガスの赤岳山頂 |
小屋前を通過して稜線に出ると思ったほどの強風ではないが体感温度を下げるのには十分な強さだった。小屋のバイトだろうか、ヘリで荷揚げされた荷物を小屋に運んでいた。ということはさっきのヘリは荷揚げだったわけだ。事故でなくてよかったぁ。すぐ目の前にあるはずの赤岳山頂は影も形も見えないガスだ。岩の稜線を僅かに南下して赤岳山頂に到着、先客がいたが風を避けられる岩陰で休憩中だった。さて、少しの間山頂で休憩しガスが晴れるか待ってみるか。しかし日差しが無い中ではかなり寒く、岩陰で体を丸めるように身をひそめて過ごした。残念ながら30分経過してもガスが晴れる気配は無く、南アルプスも見えなかった。もういいだろうと下山を開始。
小天狗先の砂礫地から見た鳳凰三山周辺(下山時) |
小天狗先の砂礫地から見た南八ヶ岳(下山時) |
帰りの方がガスの高さが低くなっており、雨が降るような気配は感じられないが好転する気配も感じられなかった。奥日光、北岳は見えなくなっていて奥秩父の山にも雲がかかり始めていた。県界尾根は続々と登山者が登ってくるがガスが晴れることは難しそうだ。南西の湿った風が入って大気の状態は不安定なはずで、あまり山頂到着時間が遅いとにわか雨が来るかもしれない。
大天狗で少々腹ごしらえし、その後は登山口まで一気に下っていった。このルートは稜線東側になるので主稜線で西風は遮られていいのだが、暑さの点では風がないので標高が落ちると汗が噴き出してくる。登山口手前で左手の沢に下って濡れタオルで汗を洗い流してさっぱりしてから車に戻った。